独立開業・副業するセラピスト必見! 開業届の書き方と必要書類を徹底解説

独立開業を考えていても、実際に何から始めればよいのかわからない方も多いのではないでしょうか。独立してサロンを開業するなら、まずは開業届の提出を行いましょう。副業でセラピストとして働いている方も提出が必要になるケースがもあります。

今回は、開業届の書き方や必要な書類と、開業届を出すメリットについて解説していきます。開業届を出したい気持ちはあるけれど、書き方がわからなくて困っている方はぜひ参考にしてください。

セラピストが提出する開業届とは?

開業届とは、事業の開始の際に提出する届け出のことです。事業を開始した方や、不動産投資をして収入を得ている方も対象になります。開業届を出さなくても罰則はありませんが、サロンの開業にともなってサロンの賃貸借契約書を交わす際や、クレジットカードの契約、融資の審査などで提出を求められる可能性がありますよ。

事業の規模が大きければ、消費税や個人事業税の納税も必要です。開業届を提出することは、各税務局に開業とともに税金の発生を報告するということになります。

開業届を出すメリット(事業所得)

開業届を出すと、公的に事業が国に認められている状態になります。公的に認められれば、屋号での銀行口座開設、賃貸の契約や融資の審査を受けられますよ。また、開業届を出す上で1番のメリットは「青色申告特別控除」です。最大65万円の控除が受けられるため、利用しない手はありません。

ただし、副業でセラピストをしている場合は内容によって事業所得と認められないケースもあるようです。自分の事業が事業所得として認められるのかどうか、税務署で相談してみると良いでしょう。

開業届と法人設立の違い

開業届と法人設立で比べると、様々な違いがあります。開業届は、提出するだけで終わるため比較的簡単に提出が済みますが、法人設立の場合はこれに法定費用と資本金がさらに必要です。株式会社なら最低25万円~、合同会社ならおよそ10万円以上が必要になります。

資本金は、法定では1円から設立できることになっていますが、会社の信用度に影響するため会社の事業に合わせて資本金を用意する会社がほとんどです。

また、会社の登記に必要な書類は膨大で、提出先も複雑です。設立までには、短くても2週間前後かかるでしょう。法人登記は準備が大変な分、ぶん社会的信用度が高く、経費にできる範囲が広く柔軟なのがポイントです。

開業届の入手方法

開業届の入手方法は、以下の2点です。

最寄りの税務署から開業届の用紙をもらってくる

開業届は、最寄りの税務署に行けば窓口ですぐに受け取ることができます。税務署の管轄も国税庁のホームぺージから確認できますのでチェックしましょう。

ホームページから用紙をダウンロードする

開業届は、国税庁のホームページからもPDFでダウンロードできますので誰でも簡単に手に入れることができます。わざわざ税務署に出向かなくてももらえるのでおすすめです。

https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/04.htm

Freee開業を利用する

開業届の入手は、Freee開業を利用するのも大変おすすめです。Freee開業なら画面の内容に従って質問に回答していくだけで、開業届が作成できます。簡単に作成できるだけでなく、青色申告承認申請書も同時に作成し、提出まで可能です。

開業届の書き方

開業届を手に入れたら、実際に記入していきましょう。ここでは開業届の記入方法について細かく解説していきます。開業届の書き方で困っている方は要チェックです。

個人事業の開業・廃業等届出書の上部 書き方

ここでは開業届の上部の書き方のポイントについて説明します。

税務署受領印

開業届を提出したら、提出した開業届の控用にもう1部コピーしたものを添付しましょう。そうすると、コピーにも税務署の受領印を捺印して返してくれます。この控えは、屋号で銀行印を作る際や融資の審査を受ける際に事業の証明として提出できますよ。税務署の受領印はとても重要なので、忘れないようにもらってくださいね。

〇〇税務署長および提出日

この欄には、所轄の税務署長の名前を記入します。また、提出日は事業の開始があった日から1カ月以内に提出する義務があります。そのため、前後1カ月以内に設定すると良いでしょう。

申請者の情報

申請者の氏名と生年月日、マイナンバーを記入します。マイナンバーカードを持っていない方は、自動車免許等の公的証明書とマイナンバー通知カードの個人番号が必要です。

個人事業の開業・廃業等届出書の下部 書き方

ここでは開業届の上部の書き方のポイントについて説明します。

届出の区分

届け出の区分は、「開業」を選択します。所得の種類は「事業所得」を選択しましょう。

開業・廃業・事業内容など

マッサージやアロマテラピーなど、どんな事業なのかを記載しましょう。誰が見ても理解できるようにわかりやすく書くのがポイントです。

給与等の支払の状況

家族や兄弟などに手伝ってもらって給与を支払っている場合は、「専従者」欄に人数を記入しましょう。それ以外で従業員を雇っている場合は「使用人」欄に人数を記入します。従業員は1人もいなければ空欄で大丈夫です。

関与税理士と税務署整理欄

税理士に依頼する場合は、関与税理士の欄に顧問税理士の名前を記載しましょう。依頼しない場合は空欄で大丈夫です。

また、税務署整理欄には何も記載しないようにしてくださいね。

開業届を提出する時に必要なもの

ここでは開業届を提出する際に必要なものをまとめます。提出の前に、1度チェックしてみてくださいね。

税務署へ直接提出する時に必要なもの

税務署へ開業届を直接提出する際に必要なものは以下の通りです。

・開業届(提出用)

・開業届(本人控え用)

・身分証明書(運転免許証やパスポート等で身元確認あり)

・マイナンバーが確認できる書類

・印鑑(必要ではないですが、訂正印の時にあると便利)

開業届を郵送する時に必要なもの

税務署へ開業届を郵送する際に必要なものは以下の通りです。

・開業届(提出用)

・開業届(本人控え用)

・身分証明書(運転免許証やパスポート等で身元確認あり)

・マイナンバーが確認できる書類

・郵送用封筒+郵送用切手

・返信用封筒+返信用切手

開業届と合わせて提出したい書類

ここでは、開業届の提出にあわせて一緒に提出しておきたい書類についてまとめました。提出の前に必要かどうか、確認してみましょう。

1人で個人サロン開業する場合

個人事業の開業・廃業等届出書

いわゆる「開業届」と呼んでいる書類です。事業を開始して1カ月以内に提出する義務があります。

青色申告承認申請書(青色申告をする場合)

青色申告承認申請書は、青色申告特別控除を受ける際に提出する申請書です。開業届を出す大きなメリットのひとつですので、必ず申請しましょう。提出期限は事業開始から2カ月以内と決まってはいますが、早く出しておいて損はないので開業届の提出時に一緒に申請すると楽なのでおすすめです。

開業から2カ月以上経ってしまうと、初年度の青色申告ができなくなってしまうので注意しましょう。

従業員を雇ってサロン開業する場合

個人事業の開業・廃業等届出書

1人で開業する際と手順は基本的に同じです。「給与等の支払い状況」欄に、雇う従業員の人数を記載しましょう。

青色申告承認申請書(青色申告をする場合)

上記と同様に、青色申告特別控除を受ける際に提出する申請書です。従業員が家族などで給与を支払う場合には、一定の金額を経費にして計上できるようになりますので、忘れないように申請してくださいね。

給与支払事務所等の開設・移転・廃止届書

従業員の給与支払いに関する事務作業を行う事務所を開設する際に提出する必要がある書類です。自分のサロンとは別に、事務所を開設する際は提出する必要があります。

源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書

源泉所得税の納期を特例承認してもらう申請書です。これがどういう制度かというと、源泉所得税は本来、源泉所得税を徴収した日の翌月10日に納めなければいけない決まりになっています。毎月納めるのは面倒ですし、納め忘れも防げるため、納めるタイミングを毎月ではなく年2回にできる制度です。

開業届を提出する時の注意点

開業届の提出時に、気を付けておきたいポイントをまとめました。提出前に読んで、不足がないかチェックしてから提出しましょう。

事前にコピーをとっておく

開業届のコピーは必ずとっておき、大切に保管しておきましょう。開業届の控えは、さまざまなシーンで事業を行っているという公的な証明となります。融資を受ける際や銀行口座を作成する際に提出が求められますよ。また、お子さんを保育園に入れる際も働いている証明が必要になるため、提出が求められるケースも多いようです。

開業日から原則1ヶ月以内に提出する

開業届は、事業の開始から原則1カ月以内に提出するように義務付けられています。遅れても罰則は特にありませんが、なるべく早く提出しておきましょう。どちらかというと重要なのは、青色申告承認申請書を一緒に提出することです。

青色申告承認申請書は2カ月以内が期限ですが、遅れてしまうと初年度の青色申告ができなくなってしまいます。節税の点で、かなりもったいないことになるので、忘れないようにご注意くださいね。

開業届を提出しないデメリット5つ

開業届を出すことは義務になりますが、出さなかったからと言って罰則があるわけではありません。しかし、開業届を提出しないと次のようなデメリットが考えられますよ。

青色申告ができず、最大65万円の控除が受けられない

青色申告承認申請書は、開業届の提出した公的な事業者だけが受けられる特別控除です。申請すれば、経費として最大65万円の控除が受けられます。個人事業主にとって1番の大きなメリットですので、開業届は提出しましょう。

屋号での銀行口座開設ができない

銀行口座を申し込むと、個人名での口座開設になりますよね。しかし、開業届をだして個人事業主であることが確認できれば屋号での名義で銀行口座を開設できますよ。

法人用クレジットカードを作れない

フリーランスで働く人は、残念ながら一般的な会社員と比べると社会的信用度に欠けてしまうのが現状です。新しくクレジットカードを作る際は、事業を行っている証明として開業届の控えを提出するよう求められます。そのため、開業届を提出しないとクレジットカードを作れないケースがあるかもしれません。

融資や助成金の申請ができない

事業をしていると、助成金や補助金などの給付を受けて資金を調達できるケースがあります。しかし、開業届をだしていなければそういった公的な助成金や補助金の申請ができません。また、融資の審査を受ける際にも開業届の控えを提出しなければいけないケースもあります。

小規模企業共済に加盟できない

開業届を提出しなければ、小規模企業共済に加盟できません。小規模企業共済とは、退職時や廃業時に貰える給付金の制度です。会社に属さずフリーランスで働くセラピストにとって大切な制度で、多くのフリーランスが利用しています。

まとめ

開業届は、個人事業主にとって公的に事業を行っていることの証明になる書類のため、非常に重要です。開業届を出さないデメリットはあっても、開業届を出すことによって考えられるデメリットはほとんどありません。

サロンの開業で準備が大変かもしれませんが、開業届と青色申告承認申請書は必ず忘れずに提出してくださいね。

【あわせて読みたい記事】
レンタルサロン(シェアサロン)で開業!開業届などの必要事項や失敗を防ぐには?
セラピスト開業のためのお金のガイドブック 初期費用やお金の借り方
エステサロンの開業に必要な7つのステップ
開業したいセラピスト向け!開業方法5パターン別メリット・デメリット
ネイルサロン向けの賠償保険とは?補償内容とおすすめ保険7選